"KZ"をクズと読んでしまったのは私のせいじゃない



これは所謂セカチュー系(?)作品ですか。世界の中心でイケメンの愛を求めるとかそういう。天才てれびくんのアニメ枠は昔から好きでしたが今作は特筆すべきものがある。簡単なアウトラインは小中学生の集団が事件に直面して推理で解決。やったね。という微笑ましい字面だけど、かなり欲望にストレートでしたね。主人公あーやはろくに友人や理解者も存在しないコミュ障状態を出発点にしていて、家庭・学校・学習塾に至るまで、現代社会のあらゆる場所に帰属する術を持たない孤高の少女として存在しているせいか厭世的なナルシズムがだだ漏れ(母親ですら妙に嫌らしい顔立ちで表現されている辺り徹底している)。その世間嫌いのあーやが主体として行動する動機を用意する為に、探偵チームKZという小集団が結成されて、それぞれに役割設定(「国語のエキスパート」!)を割り振り、事件を解決するという手続きでイケメンとの相互承認をこなしていく訳ですが、組織暴力や陰謀といった荒唐無稽なシチュエーションこそ登場しないものの、退廃した社会の断片として「事件」が展開されていく露悪的な物語にビビりましたよ、ええ。第一のエピソードから不良学生が強盗を働いて小学生相手にナイフを振りかざしたりするw ここで探偵という存在は「私を孤独に追い立てた現世の社会構造に与したくない」という対抗性を孕んでいて、それ故現代に存在する唯一の聖域としての探偵チームKZを強調するとそのコントラストとして外部的な存在はおしなべてクズになるんですよね。視聴者が受け取る体感治安の劣悪さはそのまま主人公の社会に対する不信感を反映している。あーやは中学に進学しても全くクラスメートに関心を示さないし、それどころか「第二志望に滑り込んだら(相対的に)頭がいいことを妬まれて、クラスメートを始め女王気取りのうぜえリア充が嫌がらせしてくる」なんてナルシズムの肥大化を許している有様ww



一方で自分を庇ってくれたイケメン砂原くんには全幅の信頼を寄せて、彼が不良という噂も一蹴。まぁこれはいい。結末を先取りすると、彼の父親が経営する食品加工メーカーのチンピラ社員が重大な不祥事を起こして会社は倒産。砂原くんも転校……。さながら貴種流離譚のヒロイズムを湛えたドラマチックな主人公との離別を演出すべく、世界に悪意は前提され、個人的な信頼関係の構築が主人公→イケメン間にのみ保障されている。マッチポンプの理想郷として描かれる探偵チームKZは彼女らを持て囃し、褒め称え、「事件」という手続きを通じてその連帯をより強固なものとする。しかし、その外部で営まれるあらゆる倫理観・正義感は依然として矮小化されたまま。あまつさえその残酷さを何らかのドラマとして昇華することを是とし、糧とする。この獰猛さをどう見るか。



断っておくと私は評価してますよ。いやホント。欲望肯定の自己啓発において謳われる攻撃性、その正当化のロジック。普通に深夜帯の最前線で戦えるような洗練を感じましたね。藤本ひとみ(原作)の児童文庫→NHKアニメというキャリアパスを通じてよもやこんな特異点が見つかるとは。これを小中の子女が食い入るように視聴していると思うと、やはりヲタコミュ的メンタリティの連続性はしっかり保たれているのだなと感慨ひとしおですです( ˘ω˘)